見えない世界と親しむ

色んな形で見えない世界と楽しむ

小さな生き物が、大事な友だちな人たち

こんにちは。

 

やや暑さがやわらぎました。皆さんの所ではいかがでしょう。

 

今日は、こないだふと思い出した、あの人どうしてるかな~という

 

ちょっと印象に残った人のことを書いてみたいと思います。

 

その前に、

 

2年ほど前、放課後児童ディで、ちょっと言動が荒れているというか

 

粗めの女児に出会いました。

 

大都会の施設では見慣れていましたが、こんな

 

ド田舎では珍しいな~と思いました。

 

案の上、困難な状況で都会から田舎に来た、状況が

 

胸痛むお子さんで、ご本人は

 

何かと都会を持ち出し、ここは田舎過ぎて職員も子ども達も

 

退屈でつまらない奴ばっかり!!という感じで

 

なかなか溶け込めなさそうでした。

 

ある日、私が送迎している車で2人きりになった時、ふと

 

「ほんとうは、何が好きなの?」と、運転しつつ

 

何気なく尋ねていました。

 

すると、後ろの席で、無邪気な声で即

 

「カナヘビ!!」と女児は答えました。

 

意外すぎてびっくりしていると、

 

「カナヘビの赤ちゃん、田んぼで捕まえて飼ってるの。

 

わたし、大事にお世話してるよ!!可愛いよ!!一番好き!!

 

毎日、えさを田んぼに網で取りに行ってるの。とっても大変!!」

 

と弾んだ声。

 

カナヘビ。あの無防備そうな表情の、トカゲの色つやない版みたいな

 

小さな生き物。

 

うれしそうだったので、しばらくその小さな友だちの話を沢山聞きました。

 

心に残りました。

 

その後、異動などがあり、私はその子と10カ月ほど離れているのですが、

 

先日、その女児たちが遊びに来ました。もうすっかり粗めの言動は

 

落ち着いているとのこと。

 

元気よく遊びつつも、こちらを遠目にチラチラ見ていましたので

 

元気かな?等と話し掛けると「うん」とのこと。そして帰り際に

 

「カナヘビ、今も生きてるよ。」と小さい声で私に言ってから

 

帰って行きました。あれから10カ月以上経っているのに、と、

 

感慨深かったです。

 

カナヘビが気になったところで、もう一人、思い出しました。

 

地元に大学の市民公開・英会話教室、みたいなのがあって、コロナ前まで

 

友だちと、休みの日に時々行きました。

 

植物や動物に関する面白そうな本もいくつか置いてありました。

 

ある日、なんだか周りの英会話をしに来た市民や

 

学生とは、ちょっと違った面白そうな雰囲気の青年がいました。

 

ちょっとまだ子どもっぽい様な、でもしっかりもしている様な・・・

 

イメージ的には、さかなクンみたいな空気感で、あまり見ない雰囲気。

 

その彼が、大学の駅チカ自習室でもあるらしいその部屋の片隅で、

 

テーブルで一人勉強してるはずなのに、市民の英会話のラリーの中に

 

話題によっては時々口を挟んで来るのです(笑)我慢できない感じで

 

口を挟んでくるのですが、ちょっと青年時代特有の、クールに振る舞う感じもあり、

 

その様子が面白くて毎回眺めていました。

 

ある日、市民の人たちが英会話している横のテーブルで、彼が何やら

 

退屈そうな表情で何か手遊びをしていました。

 

私の目には彼がささやかに皆さんの気を引いてるというか

 

誰かに声を掛けてほしそうだったので(笑)話し掛けてあげようと

 

近寄った途端、テーブルの上の物に目が釘付けになりました。

 

彼が触っているのは、細長い「草」で、

 

テーブルの上にあったのは、素敵な「かたつむり」。

 

「えっ??なにこれ。作ったの???」

 

びっくりして尋ねると、「これ?ああ、こんなの簡単だよ」

 

と言って、実はうれしそうに

 

ささっと、もう一つ作ってみせました。絶句。すごい。美しい。

 

その手が魔法のようで、途端にこっちが子ども心に戻ってました(笑)

 

「こんなんも出来るよ」

 

彼は草で、亀の様なものを作ったり、鳥の様なものを作ったり、

 

花かご、へびやバッタ、トンボも作って見せました!!!

 

ただの細長い草で。なんなの!?この子、素敵すぎる(笑)

 

周りに数人が集まって来て、皆さんも驚いて言いました。

 

「すごい~~~。美しい~~なんでこんなことが出来るの?」

 

「なんで?こんなこと、誰でも出来るよ。」急にカッコつけて彼は言いました。

 

いや出来んって。「どこで習ったの?」

 

「小学校で。」「小学校!?ほんとに??こんなこと、教えてくれるっけ??」

 

「ああ、僕行ったの、シュタイナーの学校だから。」

 

「シュタイナーの学校・・・?」

 

確か、感性を大切にする教育メソッドとかそんな感じだったっけ??

 

「どうやって作るの??教えて!」と、

 

皆さんと草で作るかたつむりを教えてもらいました。

 

以来、時々彼と話しました。遥か北の方から来ている学生のよう。

 

彼が英会話で夢中で話すのは、なんと「ヘビ」のことでした。

 

嫌悪感を示す人、「怖い~」と言う人、結構いましたが、

 

彼はとんでもなくムキになって、

 

「皆さん、ほんとに生きたヘビの顔をちゃんと見たことがありますか?

 

よく見て下さい、ほんとに素直で優しくて、可愛い顔をしているし、

 

ヘビに罪はありません。

 

彼らは、ほんとに無害な表情してます。性格もほとんどが優しいです。

 

ちゃんと見て下さい」と英語で話していました。

 

生物の学科にいるとかで、アパートは爬虫類・両生類の生き物だらけとか。

 

ヘビ版さかなクンかな。

 

ある時、駅前を歩いていると、バッタリ会ったので

 

声を掛けると、彼が夏休みの話をしました。こないだ

 

遠い故郷に帰省して来たと。

 

沢山の生き物たちはどうしたのか尋ねると、地元の友だちに

 

預かってもらったけど、どうしても行先のない子は連れて帰った、と。

 

ふ~ん、JRとか飛行機とかで?と聞くと怒ったような声で

 

「そんな金あるか!!高速バスに決まってる!!」と早口(笑)

 

あんな遠くに高速バスで帰るんだ・・・さすが学生はタフだのぉ。

 

ん?高速バスに生き物乗せていいんだっけ??と

 

思いましたが、もう過去なのでどうやってバスに乗ったのか?と

 

聞くと、「ポケットに入れたり、小箱に入れたり汗・・(むにゃむにゃ)」

 

・・・・。よく帰れたね。皆、無事だったのかな?

 

無事だった、僕が連れて帰るんだから、当たり前!!

 

丈夫な奴ばかりだったし、と。(笑)

 

服に細工をして逃げないように(バレないように?)

 

していたとかも。マジか、何なのその情熱?

 

その頃の皆さんとの英会話中に、気になったので、一体どうして

 

そんなに、貴方は特にヘビが好きになったのか?

 

彼にふと尋ねてみました。

 

すると彼はちょっと黙っていましたが、英語だったせいか、

 

ぽつぽつと話し始めました。

 

彼は後にシュタイナーの小学校に行ったが、

 

最初は普通の小学校だった。でも友達が全然出来なくて、

 

何ならいつもいじめられていた。そんな時に

 

グランドの隅の生垣付近に、

 

きれいで優しいヘビがいつもいるのを見つけて、

 

そのヘビだけが自分の友だちになってくれた。

 

いじめられても、いつもそこへ行ってヘビと遊ぶと、心が安らいだ。

 

ある時、いつもの様にヘビの所へ行ってみると、

 

自分をいじめる男の子たちがあのヘビに、大きな石をぶつけたり、

 

振り回したりしているのが見えた。とっさに隠れてしまった。

 

助けに行かなきゃ!でも怖い!と思うと、

 

足が震えて、まったく出て行けなかった。

 

男の子たちが去ったあと、急いで駆け寄ると、

 

友だちのヘビは、ぐちゃぐちゃに潰されて死んでいた。

 

ショックで気が狂いそうになり、ヘビを抱いて、

 

辺りが真っ暗になるまで立ち上がれなかった。

 

自分の卑怯さに打ちのめされた。

 

あの日僕は、自分の残りの人生は、

 

全部ヘビに捧げると決めた。

 

償いに、一生ヘビの味方として生きて行くと決めた。

 

両親が、その後シュタイナー学校に転校させてくれた。

 

英会話の皆さん、思わぬお話しに、全員し~んとしていました。

 

 

その後、コロナで市民英会話教室も完全閉鎖、

 

もう彼とは会っていませんが最後に会ったのは、

 

ある日、地元から遠く離れてフラワーエッセンスの勉強会に

 

都会に友だちと高速バスで行った帰り、同じバスに偶然にも

 

彼が乗って来た、でした。

 

「お~~い、何の偶然?何してるの、こんなところで。」

 

と喜んで声を掛けると、彼は私の後ろの席でした(笑)

 

彼は「よくぞ聞いてくれました!」と急にエンジンが入り

 

熱く話し始めました。

 

何でも交流会的な場でだっけ、ヘビ好きの人を見つけ、情報交換をしたら

 

意気投合し、そんなに好きなら自分の大学にも遊びに来なよと

 

呼んでくれた。聞いてみるとその人は京都大学の人だった。

 

研究室に入れてくれ、自分の研究を見せてくれた。

 

そこにいる人たちの面白い話もいっぱい聞けた、と。

 

「僕、正直今までずっと

 

自分ほどヘビに夢中な人間はいないと思ってたけど、

 

世の中には、僕より遥かに

 

とんでもないレベルでヘビが好きな人たちがいるって

 

初めて知ったよ~。衝撃だった。あんなの狂ってる、狂ってるって!

 

(とってもうれしそう)

 

上には上がいるんだなぁ~。世界はほんとに広いんだね。

 

今日は滅茶苦茶、楽しかった!!あんなに楽しかったことはないよ」

 

と、興奮していました。その表情は、ぱああああっと輝いていました。

 

あれが最後でよかったな~~。

 

 

以上、記憶に残る、

 

小さな生き物が大事な友だちな人、の話でした。

 

読んで下さった方、おられましたらありがとうございます。

 

また書きますね。

 

とんびオレンジ