こんにちは。昨日の続きを書きます。
お寺から帰ってしばらく意気消沈していると、ある日1本の電話が掛かって来ました。
なんとあのお坊さんでした。
「よう、生きてるかーー?」
びっくりしました。そう言えば連絡先を教えていました。
「今度、2泊3日の座禅合宿がうちの寺であるんだけど、来る?」
「私が????」
「そう。」
「行きます。」
何故かすんなり答えていました。
その日、到着したところは、山奥にも関わらず結構立派な禅寺でした。
しっとりした沢山の緑の中で、とても清々しい場所でした。
20人くらい?の人たちや、きびきびしたお坊さん達がおられました。
「お~、着いたか!!よく来たよく来た。」
あのお坊さんが、ゆったりと声を掛けて来ました。
自然の中で見ると、あの日とは違う印象でした。
禅堂に入ったのは生まれて初めてで新鮮、簡素なお食事もとても美味しかったです。
その後は数人づつでの入浴時間でした。薪で焚いているとのこと。
湯船に入っていると、大きな新聞社で記者をされてると言う女性が、
ご親切にも教えて下さったのですが、
なんと、あのお坊さんは受付坊主などでは決してなく、ご住職!!
この宗門の最高位の高僧・老師の息子さんなのだとか。
えええええ????
そんな・・・。愕然。
と、窓の外から、
「コラ!!いつまで喋ってる!!次の人達が待ってる!!早く出ろ!!!」
と、あのお坊さんのいや今や住職さんの、本気の厳しい声が
響き渡りました(笑)
夜の座禅が終わり、就寝前に同室の皆さんとお喋りして、
私がどんなに仏縁があるか自覚した方がいいと皆さんに
言われました。仏縁????
あの住職さんはユーモアがあり人気で多忙、個別には滅多に会えない方で、
たとえ講演会に300万円出しても、なかなか出てはいただけないんだ、とか。
(そんな方に自分の話を長々と聴かせていたとは・・300万円???汗)
山中の禅寺の空気は、ほんとにすがすがしく心地よいものでした。
と、皆さんの会話の中に時々出て来る、住職さんのお父様という高齢の
修行中の高僧のことが気になりました。最高位の高僧???
聞いてみましたが皆さん、〇〇様のことは雲の上の人過ぎて誰も見たことがない、
別世界の方だから・・・とのことでした。修行中の、凄すぎる僧なので、
10年修行した僧侶でもご指導いただくのは難しいと聞いた、とか。
翌朝、やけにお坊様達がドタドタと走り回っておられました。
朝食時、あの住職さんがどこか緊張した様子で、皆さんに言われました。
「今日、おやじが、いや、〇〇老師が、近くに来たので、
急遽ここに寄ることにしたそうです。予定にはまったくなかったんだけど・・・
こんなことは、珍しいです。」
あちこちで、「信じられない!!!」と、歓喜の悲鳴が上がりました。
禅堂で待ちました。初参禅の私を、皆さんが正面一番前に座らせました。
恐縮しかなかったです。
と、お付きのお坊さんの後から、とうとうその方がゆっくりと廊下に現れました。
一目見て、突然自分の意識の何かが変わり、時間が止まりました。
「え・・・・。なんて美しい方なんだろう!!」
心底驚いて思いました。
なんと言うのか、例えると
全体が、まるで透き通る様な、とてもきれいな軽やかな存在感。
そしてそれを見ていると、同時にこちらの内面まで、ただただ気持ちが良い。
こちらの身体の中に、ミントみたいな心地よいひんやりした、きれいな風が
絶えず流れ続けるよう!!!(←暑がりの私・・・)
こんな方、今まで生きて来て、一回も見たことがないよ!!!
こんな方が生きて世の中にいるのか!!!なんなの、これは????例えれば、
天上人が、もしもそのまま、この世界に降りられたとしたら、
きっとこんな風にきれいで、皆が即座に気持ちよいのでは???
お姿を見た途端に、急に自分のすべてが満足しているのに気付きました。
こんな方ともし一緒にいられたら、身の回りの全てを、心を込めて
とっても丁寧に扱いそう・・・。
場も何だろう、世界中の美味しい爽やかな空気を全てここに
集めた様に、明るく変わっていました。微細な光の量が多い???
過去も未来も完全に忘れ、今ここだけで永遠にもういいわ、と言うか・・・。
あれ?ほんとは天使とか??半分かすみなの!?この方、この世の方!?
ゆっくりと歩まれるそのお姿には、品と言っても全く足りない、
一度も見たことがない軽やかな質なのに
厳かさや、光の充満の様なものも感じられ、
とにかく見ていて、ただ突然の至福に圧倒されました。
皆の幸せが禅堂いっぱいに即座に広がっているようで、
その空間はどこか遠く懐かしく
なんか知らんけど、ほんとに幸せ~~~~~。
こんなに気持ちの良いこの方なら、私、一生見ていられる・・・。
踏まれる床の木も、吸われる空気も、きっと、今、喜んでるに違いない!!
聖者だ・・・。
そうか!!聖者って、体験なんだ。
老師様は、静かに座られると堂々とされ、
胸いっぱいなうれしそうなお顔で、禅堂の皆さんを優しく見渡されました。
そのピュアな笑顔に、油断していた心はとろけ、大変失礼ながら
「赤ちゃん?」と思いました(笑)
それくらい、ほんとうに純粋な感じがしました。
こんな一番前の正面で、こんな近くでこんな美しい方を見られるなんて。
後ろにいた私を、前に押し出して下さった皆さま、ほんとにありがとうございます!!!!
お声はしっかりされていましたが優しく温かみがあり、
大人の声なはずなのに、どこか小鳥の様な軽やかな印象も受けました。
きっと究極に成熟されているのに、赤ちゃん。この謎。
ゆったりと温かいながらも、端正な仏教のお話し少しと、
皆さまとお会いできて、ほんとによかったです、といった
シンプルなお話しをされました。
それはこちらこそです~~~~~~~~~~~(涙)
柔和な印象だけではなく、どこか喜んで自分から
はは~~~~ってしたくなる様な、なんと言うか自然界??の権威を持つお方、
って感じもありました。←実感を表す表現力がない・・。
ただただ幸せ感にひたっていると、
(たぶん)「お時間です。」と、お付きのお坊様が小声で囁かれました。
ああ~~~~もうこの天国は終わるのね~~~~~~、短い~~~~
皆さんのため息と、心の声も聞こえるようでした。
すると老師様が、かすかに思慮深い視線になられて一瞬黙られると、
「皆さんの中に、今回初めて座禅をされた方はおられますか?」
と明るく言われました。それを聞いて、
「はいっ!!!!はい!!!」
気付くと、馬鹿丸出しで大きく手を挙げていました(笑)
(厳密に言うと二回めなんだろうけど、あれはカウントできない・・・)
老師様はこちらを見て微笑されると、
「では、短い時間ですがわたくしが、皆さんとご一緒しましょう。」
と堂々と言われました!! 小さな悲鳴があちこちで上がりました。
ご指導の下、座禅を組みました。
老師様が、皆さんを周られて姿勢や手をちょっと直して下さったり、
(アホみたいに見てるんじゃない!(笑))
凄く近くを通られる気配があったりし、自分にとってうれしく、本当に得難い時間でした。
座禅の時間が終わると、「では!」とおっしゃり、急にきびきびとした足取りで、
老師様は去られました。その緩急にも驚きました。
目の前から去って行かれるのが、心底寂しかったです。
老師様が去られた後、皆さんがわっと私を取り囲むと
「ありがとう!ほんとにありがとう!」と言われました。
「僧侶じゃないのに、〇〇様に直接座禅の指導を受けられたなんて。
こんなこと、絶対誰も信じてくれないわ!!!」「あり得ない!!生きててよかった!」
「長く仏教を学んで、今日こんないい目に遭えて、
もう何も私、思い残すことはないわ!来てよかった!!」
「あなたがあの時手を挙げてくれなかったら、きっとあのまま
すぐに帰られていたわよね?手を挙げてくれて、ほんとにありがとう!」
抱きつく人もいました。
ああ、こんなアホでも皆さんのお役に立てて、ほんとによかった・・・。
私の中に生まれて初めて「聖者って・・・」という実感がその日、
深く刻まれたのでした。
以上、長くなりました。
読んで下さった方おられましたら、ありがとうございました。
また書きますね。
とんびオレンジ